[6.2 インターハイ福岡県予選決勝 東海大福岡高 0-1 福岡大若葉高 小郡市陸上競技場]
福岡大若葉が創部6年目で初の福岡制覇! 令和6年度全国高校総体(インターハイ)福岡県予選決勝が2日、小郡市陸上競技場で行われ、東海大福岡高と福岡大若葉高が激突。福大若葉が1-0で勝ち、全国大会初出場を決めた。
福大若葉は2019年に女子校から男女共学化。同時に男子サッカー部を創部し、系列の名門・福岡大との高大一貫による強化をスタートした。福岡大OBで、九州国際大付高(福岡)監督として同校を全国高校選手権やインターハイ出場へ導いている杉山公一監督がゼロからチームを立ち上げ。九州の名門・福岡大の施設でトレーニングするほか、杉山監督の恩師で、福岡大の乾眞寛監督も総監督としてサポートする新鋭校だ。
前日の準決勝では、プレミアリーグWESTで5位につける名門・東福岡高を3-0で突破。決勝では、東海大五高時代の2006年以来、18年ぶり18回目の全国大会出場を狙う東海大福岡に挑んだ。
東海大福岡は、3月に新監督就任が発表された伊藤良太監督の下で2012年以来の決勝進出。コイントスで風下を選択したが、序盤から相手よりもクロス、ラストパスの本数を増やしていた。
だが、福大若葉が最初の決定機を得点に結びつける。左SB遠藤慎斗(2年)の左足ミドルなどで攻めていた福大若葉は前半14分、自陣で相手のシュートをブロック。こぼれ球を繋ぎ、前を向いたMF喜連川凌久(3年)が10番MF森部絢主将(3年)とのワンツーで中央から大きく前進する。そして、敵陣中央までボールを運んでスルーパス。俊足FW山方翔大(2年)が相手SBの背中側から抜け出し、右足シュートをゴールへねじ込んだ。
山方の2試合連続ゴールで福大若葉が先制。直後にも山方の抜け出しから喜連川がシュートへ持ち込む。縦へ速い攻撃を見せる東海大福岡に対し、福大若葉は状況に応じて森部やエースFW川上礼偉(3年)らがダイレクトのパス交換。相手のペースに飲み込まれないように意識しながらゲームを運び、右サイドでスプリント力を見せるSB井上太智(3年)のクロスからゴール前のシーンも作り出した。
東海大福岡は、最前線のFW池田蒼音(3年)が再三ボールを収め、10番FW倉田連(3年)らのスピードを活かしてゴールを目指す。攻守のキーマンMF永田覚都主将(3年)がボールに係わり、キック精度の高いMF浅香寛太(3年)がクロス、縦パスを入れていたが、福大若葉は身体能力の高いCB占部陽大(2年)が幅広いカバーリング。守備能力と賢さの光るDFリーダー・CB重松怜音(2年)とチャレンジ&カバーをしながら要所を封じていく。加えて、右SB井上と左SB遠藤の両DFも絞り込みを欠かさず、崩れない。
東海大福岡の伊藤監督は、「(今年のチームは)得点無しで終わることが全然ない。1点くらいなら取り返せると思っていました」と振り返る。後半4分、連続攻撃からPAの池田がループパス。右奥の倉田が決定的な形で合わせたが、枠上へ外れる。東海大福岡は13分にも高い位置を取り続ける右SB斉藤大生(2年)がゴール前へ侵入し、右足シュート。風上に立ったチームは相手を攻め立てていたものの、伊藤監督はラストのクオリティが不足していたことを指摘する。CB鈴木陽太(3年)を中心に危なげない守りを見せていが、攻撃ではロングボールやクロスが流れるなどチーム全体のミスが増えてしまっていた。
対する福大若葉は、風下になってもバタバタしなかった。乾総監督が「主軸を大学生の中で練習させたり、ヒガシ(東福岡戦)の前の一週間も大学生がスパーリングパートナーで行ったりとか、それは高校の単独とは違う強化ができるんで、それが最大限活かせた」と説明したように、福大若葉は九州の名門・福岡大の協力で強化してきた力を示す。
ゴール前に入ってくるボールを冷静に重松が跳ね返していたほか、井上や遠藤が空中戦で競り負けない。森部は「大学生のスピード感だったり、フィジカルは高校年代では味わえない力がある。そういうところの力を借りて、新人戦よりもしっかり自分たちのボールを持つ、もっと下で繋ぐことができたと思っています」と語り、重松も「(大学生と対戦することが多いので、高校生は)全然怖くないです。(今大会無失点の守備は)全国でも通用、自信持ってやれる部分だと思います」と自信を口にした。
距離感の良い東海大福岡にセカンドボール回収を許し、繋ぎのパスを通されていたことは確かだが、MF奥井星宇(2年)や森部が相手の前進を阻止。前線の選手も献身的な走りを続けた。FW鉄留千尋(2年)の突破などで攻め返すも、後半はシュートゼロ。それでも福大若葉は落ち着いて時計の針を進め、注目GK森惺舞(3年)の守るゴールを最後まで破られることなく全試合無失点で頂点に立った。
福大若葉の杉山監督は「選手はやっぱり、ようやったよね。ほんと、凄いなと思うし、逞しかったから。決断力とか判断とかっていうのはまだ幼いところはあるけど、それでも大人と会話できるし、自分たちの力でゲーム分析したりとか、スカウティングしたりとか、ミーティングなんかもやっぱよう喋ってやるから、彼らはもう凄い」と称賛する。
そして、「この子たちもそうなんだけど、一期生とかね。やっぱり(ゼロからのチームに)最初に来てくれた子たちが逞しくて、今週の練習も7人、8人、トレーニングパートナーで来てくれて。そいつらが良くやってくれるんですよ。大学生と、あの施設、乾先生、スタッフも含めて、協力してもらってるから、そういう意味ではほんと、ありがたいです」と礎を築いてきたOBたちや福岡大に感謝した。
激戦区・福岡代表の責任も背負って挑む初の全国舞台。森部は「やっぱり結果にこだわらないといけないんで。知ってもらうにもしっかり結果が大切だと思うんで、しっかり勝って、若葉高校というチームを全国に広めていきたいと思っています。目標は優勝です」と力を込めた。まだまだこれからのチームであることは確かだが、堅守は注目。福岡の新王者がインターハイでもインパクトを残す。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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