[6.5 インターハイ熊本県予選決勝 大津高 3-1(延長)熊本国府高 えがお健康スタジアム]
“プレミア首位”を大いに苦しめた。熊本国府高は2016年以来となるインターハイ出場を懸けた決勝戦。対戦した大津高は熊本県予選5連覇中で、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグWEST首位を走っている強敵だ。
前半10分にサイドを崩されて失点。だが、佐藤光治監督が「自分たちのマイボールスタートと。(ボールを保持し、)時間をコントロールできることが多分、大津は一番嫌かなと思います。蹴って、相手ボールになるよりも自分たちの時間を作りながら、焦らせながら。1点取られると同点だよっていうプレッシャーの中で、そういう展開ができたので」。安易にロングボールを蹴らず、GK竹馬奈玖(3年)からのビルドアップを徹底した。
PA近くの低い位置でロストするシーンもあったが、勇気を持ってボールを繋いだ。そして、10番MF古川慎恩(3年)が相手の逆を取る形で前進。FW松元海斗主将(3年)は「蹴るんじゃなくて繋ぐっていう形でやろうとなってたんで、そこはビビらずできていたと思います」。前線のFW{{清水駿}(2年)や松元の奮闘もあってマイボールの時間を増加。古川の精度の高いキックなどでハイサイドへボールを運び、右SH岩崎祷真(3年)がスピードを活かした仕掛けからクロスを上げきっていた。
また、コンパクトな陣形を崩さず、自分たちの距離感でサッカーを展開した。セカンドボールを良く回収していたほか、CB坂井一心(3年)や竹馬ら守備陣が粘り、1点差を維持。ロングスローやCKのこぼれ球から同点機を作った。
怪我明けの交代出場FW鎌田竜輔(3年)が相手DFからインターセプトしてビッグチャンスを創出するシーンも。後半も足の止まらない熊本国府に対し、大津の山城朋大監督は「連戦の中、最後まで出足が落ちなかった。国府高校から学ぶことがたくさんありました」とその戦いを称賛していた。
熊本国府は前日の準決勝で東海大熊本星翔高とPK戦まで戦っていながら、試合終盤も大津に食らいついた。今年初参戦したプリンスリーグ九州2部で、強度の高い90分間を過ごせていることも大きかったようだ。佐藤監督は「今まではもうこういうゲームをやると3、4人は攣った状況で、交代していたんですけど、(今年は)意外と足が止まらないです」。止まらない熊本国府は後半35+4分、左クロスを岩崎が頭で合わせて1-1。大応援を続ける同級生たちを沸かせてみせた。
だが、延長後半に連続失点。松元は「最後の最後で、やっぱりボールに対する執着心だったりとかが、自分たちの方が課題が大きかったかなと思います」と悔しがった。PK戦に自信を持っていただけに、あと数分間守り抜いていれば結果は違ったかもしれない。自分たちが想定していた以上の戦いができたが、選手たちは勝ち切れなかったことを悔しがっていた。
次は“苦しめた”ではなく、勝ち切る。松元は選手権の目標について、「もう絶対大津倒して、絶対優勝」と宣言。「練習から今までよりも1つ2つ強度とか上げて、常にこういう舞台で戦えるような準備をしていきたいです。蹴るんじゃなくてしっかり繋いで、あと粘りのある守備をしっかりやっていきたいと思います」と誓った。今後、プレミアリーグやインターハイを戦う大津がここからの半年間で進化することは間違いない。この日、注目校と互角の戦いをした熊本国府は半年後に上回れるように、日々の練習やプリンスリーグで実力、勝負強さを磨く。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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