[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.12 インターハイ千葉県予選準決勝 流通経済大柏高 2-0 日体大柏高 東総運動場]
“ゾーン”を持つMFが、見事な2ゴールを決めた。流通経済大柏高は前半40分、敵陣右中間でMF和田哲平(3年=FC KAWAGUCHI出身)がインターセプト。FW粕谷悠(3年)とのワンツーで抜け出すと、PAに入ったところから右足を振り抜いた。
対角へ打ち込んだ一撃は、GKの指先をかすめてファーサイドのゴールネットにグサリ。「あの形は結構得意なので。勝ちたいっていう気持ちが多分シュートにうまく乗ったと思います」と威力十分の先制弾を振り返った。
さらに後半3分、和田は右から斜めのランニングでMF飯浜空風(3年)のスルーパスを引き出す。そして、自分の得意とする角度へボールを運んでから、今度は対角の左足シュートを右隅へ突き刺した。
「自分の得意なエリアが、大体あそこのゴール前のところで、自分は右足よりも左足の方がシュート得意なんで、いい感じに力が抜けて、自信持って蹴れました」と和田。右も左も45度が、自信を持っている角度なのだという。榎本雅大監督が「腰回りのやっぱ力があるからね」という強さを活かした2ゴールだった。
シュートは期待されている武器だ。榎本監督は「プレミア(リーグ)で言えば凄い当たってる選手なんですけど、ここに来て和田はちょっと疲れが溜まってて、体の切れがない感じでした。でも、昨日の練習で結構シュート入れてたんで、『今日、あんじゃないの』って話してて、本当に2発とも凄えいいシュートでしたね。どうしても柚木(創)とか亀田(歩夢)だとか、堀川(由幹)、松本(果成)とか、こういう選手が目立つ中で、職人という感じですね」と称賛する。
和田はその武器を小学生時代から磨いてきた。所属チームがオフだった月曜日に地元のコーチについてシュートの個人レッスン。「ずっと小学校の時から教えてもらってるコーチのところで、動きの質だったり、シュートのところだったりは、もう本当に誰よりもやってきた自信がある」。プレミアリーグEASTではチームトップタイの3得点。この日も感覚的に放ったシュートで2得点をマークした。
和田はMF柚木創(3年)やMF亀田歩夢(3年)ら攻撃タレントの多いチームの中で守備を得意とするプレーヤーでもある。「柚木とか、亀田とかができない自分の特長は、やっぱり守備の奪い返しとか、チームのために走るっていうところなんで、やっぱりそこが今いい感じに噛み合ってると思います」。先制点は自らの奪い返しから決めたモノ。自分の武器をタレントたちの中で効果的に発揮している。
ただし、この日は「3点目を自分が取れるように」と反省。「今日は少し硬くなって、ちょっとチームに迷惑かけた部分もあったんで、決勝は緊張すると思うんですけど、やっぱり楽しんで自分のプレーができるようにっていうのと、あと、チームが勝てるように、決勝では3点取れるように頑張っていきたい」と誓った。流経大柏は昨年の決勝で市立船橋高に2-3で敗れている。それだけに、今回は3点取って、リベンジを果たす。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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