プレミアEAST無敗首位の実力発揮。流経大柏が2-0で千葉準決勝突破

前半40分、MF和田哲平(7番)の先制点を流通経済大柏高の選手たちが喜ぶ
[6.12 インターハイ千葉県予選準決勝 流通経済大柏高 2-0 日体大柏高 東総運動場]

 プレミアEAST首位の流経大柏が全国王手――。令和6年度全国高校総体(インターハイ)千葉県予選準決勝が旭市の東総運動場で開催された。流通経済大柏高がMF和田哲平(3年)の2ゴールによって2-0で日体大柏高に勝利。流経大柏は、3年ぶりの全国大会出場をかけ、16日の決勝で市立船橋高と戦う。

 流経大柏の榎本雅大監督は、「(シーズン当初は)緊張もあって半信半疑でスタートしたけれど、やっぱり力がある。彼らの能力からすれば(プレミアリーグEAST首位も)不思議じゃない」という。プレミアリーグEAST開幕7試合を5勝2分で無敗首位。今大会も暁星国際高、八千代高、そしてこの日の日体大柏と難敵をねじ伏せて、決勝進出を果たした。
 
 流経大柏は、開始35秒で左SB堀川由幹(3年)がファーストシュート。さらにU-17日本高校選抜の10番FW柚木創(3年)が相手のフィードをチャージするなど、立ち上がりから、2年生5人が先発の日体大柏を飲み込もうとする。

 だが、日体大柏はMF加藤大雅主将(3年)を軸にボールを動かし、FW小泉ハーディ(2年)やMF本多眞大(2年)、右SB小菅晴輝(3年)といった推進力を持った選手を活用して前へ。相手CB奈須琉世(3年)にブロックされるなど攻め切れなかったものの、守備の出足も良く、攻守で渡り合っていた。

日体大柏FW小泉ハーディがボールを収める

 だが、流経大柏はJクラブ注目の大型右SB松本果成(3年)がダイナミックな縦突破で空気感を変える。いずれもテクニカルな左サイド、MF亀田歩夢(3年)と左SB堀川がボールを保持。空いた右サイドへ展開し、松本の爆発的なスプリント力を引き出していた。また、アイディア、テクニックに秀でたエースFW柚木へボールを集め、「自分にボールが入る回数が今年はほんとに多くなって、自分としてもサッカーやってて楽しいですし、みんなにも感謝したい」という10番を中心とした攻撃で攻め切るシーンを増やしていく。

流経大柏MF亀田歩夢がドリブルで切れ込むが、日体大柏DF陣も振り切られずに食らいつく
注目10番FW柚木創が流経大柏の攻撃を牽引

 その柚木は、「自分たちは攻撃も特長なんですけど、守備から攻撃にっていうところを意識して、奪い返しってところが今日に関しては相手を確実に上回れたんで、そういうところでゲームを支配できたのかなと思います」と振り返る。日体大柏は幾度か小泉が局面を打開していたものの、相手のハイプレスに苦戦し、ボールを思うように前進させることができなくなった。

 そして、流経大柏は40分、好守から先制点を奪った。敵陣で和田が相手のドリブルを阻止。すぐさま、FW粕谷悠(3年)へ預けると、リターンを受けて右中間から右足を振り抜く。対角の一撃がファーサイドのネットへ突き刺さり、先制点となった。

前半40分、FW粕谷悠がリターンパスを通す
MF和田哲平が豪快な右足シュートを突き刺した

 さらに流経大柏は後半3分、左中間でボールを持ったMF飯浜空風(3年)が右前方へ距離の長いスルーパス。これを受けた和田が左へ持ち出してから左足を振り抜く。この一撃を右隅へ突き刺し、2-0とした。

後半3分、流経大柏MF和田哲平が追加点

 榎本監督が「今日、ホントに良かったし、やっぱ彼の良さっていうのは、ボールを配れるので。守備も上手い選手なんですけど、2点目のアシストとか、ちょっとらしさが見えたなっていう感じで。こういうトーナメントだと、どうしても簡単にボール離す感じになってしまうけれど、良く見てたし、今日、空風が凄く良かった」と賞賛した飯浜と、MF稲田斗毅(3年)のダブルボランチはセカンドボールの回収でも貢献度が大きかった。

流経大柏MF飯浜空風は追加点をアシストするなど存在感のある動き

 日体大柏は相手の多彩な攻撃に対し、CB岡崎来夢(3年)を中心によく踏ん張っていた。また、Jクラブ注目のU-17日本高校選抜GK早川ウワブライト(3年)が好守を続け、縦への速い攻撃で反撃した。根引謙介監督が「プレミアで1位を取っているチームと実際にやった中で、得られたものが大きかったかなと。僕らを成長させてくれる材料になったっていうのは、物凄く良かったと思います」と振り返ったように、真剣勝負の中で体感できたものは大きかったようだ。

日体大柏はGK早川ウワブライトが好守を見せた

 ただし、結果に結びつけることはできなかった。流経大柏は榎本監督が「GKも含めて、CBの奈須、富樫と、この辺がやはりプレミアでもかなり体張ってるんで、彼らの貢献っていうのは、前の選手たちはみんな感謝している」と評したCB奈須やCB富樫龍暉(3年)、GK加藤慶太(3年)が終始安定した守りで隙を見せない。CKからピンチを迎えるシーンがあったほか、3点目を決め切れないという課題も残ったが、2点リードの後半も粕谷を筆頭に各選手がハードワークを貫徹。亀田や飯浜といった技巧派たちも守備意識が高かった。

試合終盤も流経大柏は集中力の高い守備。CB富樫龍暉がスライディングタックルを決める
流経大柏のCB奈須琉世とGK加藤慶太がハイタッチで無失点勝利を喜ぶ

 流経大柏が2-0で準決勝を突破。今年は、前線から超攻撃的な松本、堀川の両SBや精度の高いキックを操る奈須、富樫まで特長のある選手が揃い、どこからでも得点できる力がある。そのチームをゴール、チャンスメークで牽引する柚木は、「決勝で最後にやれなきゃ、今までの分はチャラかなって思ってるんで。最後にやっぱ自分が点決めて、チームを勝たせて、自分が10番だぞっていうのをチームメートにも証明したいですし、この先のプロや代表っていうところにもアピールできればなと思っています」と意気込んでいる。

 榎本監督は、Jクラブユース勢相手にも強さを示す今年のチームに大舞台を経験させたいという思いを持っていた。「まだまだ伸びしろのあるチームだと思うし、この伸びしろを活かすために一番いいのが経験だと思っているんで。やっぱり全国に何とか行って、勝ち取って、彼らにそういう経験をさせたい」。選手たちも決勝で勝って、今後の飛躍に結びつける考えだ。

 柚木は「自分たちは(入学してから)全国に出たことがない。まず、このインターハイに出ることで選手権にも繋がるだろうし、これからのプレミアにも絶対繋がるインターハイだと思っているんで、ここで決勝絶対勝って、いい流れを将来に繋げられればいいのかなと思います」。4日後の決勝で市立船橋と対戦。宿敵を攻守で上回り、日本一へ一歩前進する。

(取材・文 吉田太郎)


●全国高校総体2024特集
Source: 大学高校サッカー

コメント

タイトルとURLをコピーしました