[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.15 関東大学L1部 明治大 2-2 筑波大 Gスタ]
筑波大の勝利が目前に迫った正真正銘のラストプレーだった。1点を追う明治大はDF内田陽介(4年=青森山田高)が右サイドでロングフィードを受け、マイナス方向にクロスを送る。練習していたという形でチャンスを迎えると、MF島野怜(3年=仙台育英高)がダイレクトシュートでゴールに流し込み、同点に成功。するとキックオフを待たずに試合終了の笛が吹かれ、優勝争い直接対決は2-2の引き分けに終わった。
明治大は2位の筑波大に勝ち点3を許さず、今季のリーグ戦無敗を維持したまま3ポイント差で首位をキープ。それでも島野は先制しながら一時逆転を許し、結果的に勝ちきれなかったことへの悔しさを強く示した。
「早い時間帯で点が取れたのに追いつかれたのは、自分たちが1点を取って気持ちの面で落ちてしまった証拠だと思う。満足するのではなく(相手を)圧倒するために戦わなければいけなかった」
島野が口にした“圧倒”という言葉は今季の明治大でキーワードになっている。副将のMF常盤亨太(4年=FC東京U-18/25年FC東京加入内定)が5月の試合後に明かしており、2年ぶりのリーグ制覇に向けて隙を見せない戦い方を目指している。
そのなかで筑波大戦は常磐が負傷欠場を強いられる一戦でもあった。島野は「亨太さんがいなかったから負けたとは思われたくない」と強い意気込みとともに先発出場。5月26日以来の公式戦先発入りとなったが、前回は「個人として何もできなかった」天皇杯の筑波大戦(●0-1)だった。
チームとしても個人としてもリベンジを狙った一戦にも思えるが、栗田大輔監督は「主語は『明治は、俺たちは』になるぞ」と選手に伝えていたことを明かし、あくまで明治大らしさを示すことに焦点を当てていた。だからこそ島野は2-2のスコアに「明治のサッカーを出しきれなかった」と肩を落とし、「もっと日常から突き詰めていかないと」と現状に目を向けざるを得なかった。
リーグ戦の中断に伴い、明治大は来週から総理大臣杯の出場権をかけたアミノバイタルカップを戦う。昨季は初戦で3部勢に敗れ、早々に3冠の夢が潰えた。島野は一発勝負の怖さを知るからこそ、「目の前の相手をしっかりと圧倒して、明治のサッカ-をして勝ちを積み重ねていければ」と徹底的に甘さを捨てる覚悟を示した。
(取材・文 加藤直岐)
●第98回関東大学リーグ特集
Source: 大学高校サッカー
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