[6.16 関東大学L1部第9節 桐蔭横浜大1-3中央大 桐蔭学園G]
流れを引き戻すゴールになった。前半終了間際に同点弾を許していた中央大だったが、後半5分、クイックリスタートから流れるようなパスワークをみせると、DF長澤圭剛(4年=桐蔭学園高)のグラウンダークロスに走り込んだFW加納大(4年=静岡学園高)がワンタッチで蹴り込み、勝ち越しに成功した。
「ハーフタイムにギアをあげようという話をしていた。その中で最初に流れを掴んで、自分が勝ち越しゴールを決められた。ゴール前での動きを求められているので、そこは特長を出せたと思うし、監督にもそこは要求されている。とにかく結果として残せたことは大きかったと思います」
チームはFW星野創輝(4年=横浜FMユース)のゴールで突き放して3-1で快勝。3戦ぶりの勝利を手にした。「去年の苦労があって、今年は順調に来ている。今年は優勝を目指してという感じです」。残留争いをした昨年とは違う。第9節を終えて4位につける今季の戦いぶりにも手ごたえを持っている様子だった。
実績な十分を持って大学サッカー界にやってきた選手だった。静岡学園高では2年生の時に高校選手権で全国制覇を経験。青森山田高との決勝でも先発出場しており、後半16分に起死回生の同点弾を決めた。志望していた高卒でのプロ入りは叶わなかったが、大学での活躍が注目されていた。
しかし現実は甘くはなかった。ベンチ入りは2年目からとなったが、主に途中出場で出場時間は限られた。4年目も途中出場が続き、前節の駒澤大戦が今季の初先発。2年目に戦った2部リーグではゴールを決めていたが、1部ではこの日が初ゴールだった。
「入学当初思い描いていたビジョンとは大きく違った大学生活になった。その中でも自分の中でぶらさずにやってきたことがあるから、こうやって結果を残せたと思う。間違ってはなかったのかなと思っています」
自分と同じく志しを高くして関東にやってきた仲間が、大きな飛躍を遂げた。静岡学園から拓殖大に進み、今季より柏レイソルに早期入団したDF関根大輝とは静岡学園幼稚園から同じ幼馴染。サッカーを始めたチームは違ったが、静岡学園中からは高校までの6年間、チームメイトとして切磋琢磨した。
そんな関根は今や世代屈指のSBとなり、今夏のパリオリンピック出場も確実視されている。今でも頻繁に連絡を取り合っているという2人。「同じ環境で育ってきて、同じカテゴリでやってきた仲間が、ああやって世界を相手に戦っている。いつかは追いついて追い越したいと思っている存在なので、日々刺激を貰っています」。
これからもチャンスを確実にものにしていきたい。「リーグを通して結果を残したい。求められているところもそこだと思うので、現状に満足せずにゴールとアシストを残したい」。そしてその先へ。「プロになることを求めて大学に入ったし、そこだけを見てやっていきたい」。高校2年生の時に放った輝きが本物であることを証明する。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 大学高校サッカー
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