[9.20 アジア大会GL第1節 U-22日本3-1カタール 杭州]
入場の様子を観ていた段階から多くの選手たちが緊張している様子が伝わってきた。それだけに、最初の1点が極めて重要だった。
20日に初戦を迎えたアジア大会に臨んでいるU-22日本代表には、日の丸を付けての国際経験の少ない選手が多くメンバー入りしている。世代としての底上げを図り、より強力な“五輪代表”を作るための重要な一歩となる今大会でのチャレンジだが、お互いに今回が「はじめまして」の選手も少なくないチームである。特に初戦の入りは難しくなることも予想されていた。
そんな雰囲気を振り払ったのが、MF谷内田哲平(京都)の一発だった。
開始わずか2分。ゴール正面やや左寄りの位置で得たFK。ボールの前に立ったのは西川潤(鳥栖)と谷内田の二人。FKを奪ったのは西川であり、蹴る気満々のオーラを出しているように見えた。実際、直前まで西川が蹴る予定だったと言う。
「最初は(西川が)『蹴る』という話になっていたんですが、直前になって譲ってもらったんです」(谷内田)
角度的には右足のキッカーである谷内田にとって“おいしい”位置でもあった。西川の“蹴りそうオーラ”をフェイントにしつつ、谷内田が蹴ったボールは狙いどおりの彷彿線を描き、ゴールネットへ。急造編成のチームに大きな勇気を与える最初の1点が生まれた。
「蹴った瞬間に『これは入るだろうな』と思いました」
そう笑顔で振り返った谷内田にとって、これが各年代代表公式戦での初ゴールでもあった。「本当に嬉しかった」と言うのも当然だろう。
14歳のときから各年代の代表を経験している谷内田だが、大岩剛監督率いるU-22日本代表の主力メンバーからは漏れており、本人もそのことに自覚的だ。ただ、だからこそ今大会に懸ける思いは強い。
「優勝すること」
そう言い切って大会について明確なターゲットを設けているのも、「自分への評価を変える」ための最適解がチームを勝たせることだと知っているからだ。
会心の先制ゴールを奪って優位に試合を進めながら、一時は1点差に詰め寄られてしまった試合運びについて「反省しないといけない」と強調したのも、「優勝するチームになる」ため。
今大会で目指すのは金メダルのみ。そしてその先の成果として、来年の五輪最終予選でのメンバー入りを掴み取りにいく。
(取材・文 川端暁彦)
●第19回アジア大会特集ページ
Source: サッカー日本代表
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