[MOM969]産業能率大GKカウンゼン・マラ(4年)_パリ五輪で腕章巻く先輩から大きな学び「1日1日を大切に」

GKカウンゼン・マラ(4年=東京Vユース)
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.22 関東大学L2部第11節 産業能率大 3-0 法政大 産能大第二G]

「1日1日を大切に」。パリオリンピックに臨む先輩の背中を見てきた産業能率大のGKカウンゼン・マラ(4年=東京Vユース)は努力を重ね、大学最終シーズンを戦っている。

 2002年生まれのカウンゼンは1学年上にMF松橋優安(現東京V)、MF石浦大雅(現愛媛)、DF馬場晴也(現札幌)などタレントが揃う東京ヴェルディユースで高校時代を過ごした。また、01世代にはMF山本理仁とMF藤田譲瑠チマの現U-23日本代表組も所属していた。

 カウンゼンは山本について「つねにプレーで僕達に示し続けてくれた」と語り、卓越した技術でチームを引っ張る凄みを感じていたという。山本は高校2年時に翌季から飛び級でトップ昇格することが決まるとJリーグでの活躍を経て、現在はシントトロイデン(ベルギー)で海外挑戦中。さらには世代屈指のタレントが集まる五輪メンバー入りに、カウンゼンは「やっぱりそのまま時代を引っ張っていく選手になっていったんだな」と納得の表情を浮かべた。

 同じく1つ上の先輩にあたる藤田はパリ五輪でキャプテンを務める。大役を担う日本の心臓だが、高校時代はなかなかAチームに絡めないまま最終学年を迎えていた。後輩とともにBチームで過ごした時期が長かったからこそ、カウンゼンはそこからの躍進ぶりに多くの学びを得た。

「Bチームで一緒にやってきた選手が諦めずにつねに上を見続け、やり続けることで、人生は明日好転するかもしれないということを教えてもらった。僕はその姿を見て1日1日を大切に、今日人生が変わるかもしれないという気持ちでやっている」

 成長物語だけでなく、ともに戦う中で見てきた姿も印象に残っている。明るい性格を活かしたチームメイトへの積極的な指示やアドバイス、労を惜しまないハードワークでチームに貢献する藤田の背中は目に焼きついており「どんなに苦しいことがあってもやっぱりやり続けていくだけ」とパワーに変えているようだ。

 そして大きな背中を見てきたカウンゼンもまた、成長を続けている。21日の法政大戦では相手に14本のCKを与えながらも完封を果たした。安定した飛び出しからキャッチやパンチングで相手にシュートを打たせない場面が目立ち、守護神ぶりを発揮。産業能率大でハイボールへの対応、キック精度、シュートストップの3つを確立したといい、結果に繋がっている手応えを示した。

 さらに今年は複数のJクラブに練習参加し、「思ったよりも自分の力は低く見るものではなくて持っている力が自分にはある」と自信を深めることができたという。残り半分となった今季はチームのために戦いながらプロの舞台で活躍できるよう、自信と技術をさらに高める時間だ。日の丸を背負う同年代のGK鈴木彩艶やGK野澤大志ブランドンにも意識を向けながら偉大な先輩と同じように「上の舞台をイメージして日々トレーニング」し、関東大学リーグでのさらなる成長を誓った。

(取材・文 加藤直岐)

連載:大学マン・オブ・ザ・マッチ2024


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Source: 大学高校サッカー

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