ボランチからウイングへ転向したアタッカーがゴールを量産している。湘南工科大附高(神奈川)の10番FW荻野寛太(3年=湘南ベルマーレU-15出身)は今季、神奈川県1部リーグ前期9試合で12得点。23日から行われた「ニューバランスリーグ(NBL) in堺ユースサッカーフェスティバル」でも松商学園高(長野)戦で2発、明徳義塾高(高知)戦では直接FKを決めた。
24日午後の東大阪大柏原高(大阪)戦では前半のみ出場。その中で鋭いターンや、相手の背中を取るドリブルによって局面を打開していた。そして、ゴール前からショートコンビネーションやドリブル突破にチャレンジ。球際の強度の高い相手に個の力で行き切れなかったこと、得点できなかったことは課題になったが、それでも余裕のあるボールコントロールをはじめ、一際存在感のある動きを見せていた。
小学生時代はFWで湘南U-15から中盤。湘南工科大附進学後もボランチを務めていた。小柄だが、ジムで身体を鍛え、また試合に出続けたことでスピード面が向上。今季は希望のFWへコンバートされ、ボランチ時代に磨いた視野の広さ、ボールを受ける力も活かして対戦相手の脅威になっている。
「マンツーとかマークついてくれるんで、そこは嬉しいっていうか、自分でも警戒されてんだなって感じで、楽しいです」。特に両足のキックに自信を持っており、左サイドから縦、中へ仕掛けてシュート。左右両足でCKキッカーを担当し、FKは高確率で「決めるんで」というほどの武器にしている。
関東の大学から高い評価を得ているというが、突破力や後半の走力、強度がより高まれば上のステージでも活躍できそうだ。本人も「課題はもうちょい個で違いを常に出して、やっぱチームでも、個人でも点を取れるようにしたい。自分、1枚は剥がせるんで。その剥がした後の2枚目とかの距離感とか、そこをもうちょい見なきゃいけない」。目標は先輩FW中山陽輝。22年インターハイで全国8強入りに貢献した先輩を超えることを目指していく。
チームの目標は相模工大附高時代の1980年度以来となる選手権出場だ。今年は関東大会予選も、インターハイ予選も内容の良いサッカーを展開したが、セットプレーで失点するなど優勝には届かず。荻野は「相手のサッカーに付き合って停滞しちゃうとやっぱり厳しいゲームになる。でも、自分たちらしいサッカーを出せれば全然、神奈川でも優勝できる」と言い切る。
東大阪大柏原戦は昨年も活躍していた俊足FW成田梨甫(3年)を欠くも、MF佐藤颯人主将(3年)らがチーム全体でボールを運び、室井雅志監督が「受ける、抜ける判断がついてきた」と評したFW永島雷琉(3年)や荻野が鋭い動きでゴールに迫った。DF對馬陸玖(3年)を中心としたDF陣の安定感も高め、内容、結果でも対戦相手を上回るチームへ。「ニューバランスリーグ(NBL) in堺ユースサッカーフェスティバル」で見つけた課題も改善し、選手権予選で激戦区・神奈川を勝ち抜く。
(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー
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