[NBL in堺ユースフェス]関東王者・大成に快勝。文武両道、下級生も台頭の三田学園が夏の兵庫2位から選手権初出場へ

前半5分、三田学園高MF坂東航が右足で先制ゴール
[7.23 NBL in堺ユースフェス 三田学園高 4-0 大成高 J-GREEN堺]

 第13回堺ユースサッカーフェスティバル in JG(7月19日~28日)期間中の7月23日から25日までの3日間、東北から九州までの強豪24チームが参加してニューバランスリーグ(NBL)が開催されている。4グループに分かれて総当たりのリーグ戦を実施。24日には今年の関東高校大会優勝校の大成高(東京)とインターハイ兵庫県予選準優勝校の三田学園高が対戦し、三田学園が4-0で快勝した。

 関東王者の大成は普段と異なるスタイルのチームとの戦いで壁にぶつかり、また乗り越えて成長するための関西遠征。ここまで、台頭中のFW生駒大雅(1年)ら選手を入れ替えながら試合を重ねてきたが、三田学園戦は関東大会の優勝メンバーで試合に臨んだ。GK小曳悠斗(2年)、DF高倉崇太(3年)、高橋佑弥(2年)、小池汐生主将(3年)、秋間龍矢(2年)、MF伊佐地晴希(3年)、川村歩夢(3年)、稲荷啓太(3年)、水谷良吾(2年)、FW坂本青輝(3年)、伊藤雄淳(3年)が先発。注目CB小池や坂本、伊藤の2トップら7名が関東大会の優秀選手に選ばれているタレントだ。

 一方、三田学園は中高一貫の進学校。学業に専念するため、準優勝したインターハイ予選後に引退した主力3年生もいる。この日はGK神田航汰(3年)、DF畑尾咲登(2年)、上野櫂(3年)、黒瀬直弥主将(3年)、福井奏太郎(3年)、MF佐伯太壱(2年)、小林瞳斗(3年)、坂東航(1年)、中田雄大(3年)、FW堀家柊真(3年)、姫田琢斗(3年)の11人が先発。後半からFW瀬尾涼太(3年)、MF上柿歩生(3年)、柿澤佑磨(1年)、小林和暉(2年)を投入し、MF肥田夢陽(2年)、GK源泰晴(1年)もピッチに立った。大黒柱の黒瀬、姫田、中田、福井の関西トレセンメンバーに加え、「学年関係なしに2年生がどんどん発言していって、僕とかがチームの中心になりたいなと思っています」という畑尾ら秋冬へ向けて台頭が期待される下級生も持ち味を発揮した。

三田学園期待の大型2年生右SB畑尾咲登

 前半5分、坂東からのパスを受けた姫田がDF2人を引き付けてスルーパスを通す。これで坂東が抜け出し、右足で先制点を叩き出した。さらに7分、再び姫田のスルーパスから堀家が右足シュートを右隅へ流し込む。攻守で存在感を放つエースFW姫田の活躍で早くも2-0となった。その後も姫田や中田を中心に速攻を繰り出し、3点目を狙う。

前半5分、三田学園はFW姫田琢斗がスルーパスで先制アシスト
1年生MF坂東航がが右足でゴールへ叩き込んだ
前半7分、三田学園FW堀家柊真が右足で決めて2-0
アシストの姫田が祝福

 大成も反撃。坂本、伊藤の強力2トップがボールを収めて起点を作ると、伊佐地や川村、右SB高倉らが攻撃に係わって相手を押し返す。全体的に間延びしてしまった三田学園に対し、大成はボールを保持する形で主導権。チーム全体の上手さで相手を驚かせていた。そして、左サイドを突破した水谷のシュートや高倉のカットインシュートなどゴールへ迫るが、三田学園もCB黒瀬やGK神田を中心にゴール前の局面で崩れない。

大成はFW坂本青輝が身体を張ってキープ
両校の主軸、大成CB小池汐生主将(左)と三田学園MFMF中田雄大が競り合う

 ハーフタイムに三田学園の福島康太監督は「原理原則のところを整理しました。もっと強気で。前から行って、勇気を持って」守備に行くことを求めたという。同時に行くところ、行かないところを選手同士で共有。前へチャレンジする姿勢の高まった後半は黒瀬、上野の両CBが厳しく相手FWに当たるなど、課題になっていた部分を改善した。

 また、攻撃面では、「ボールを失わないってところが僕の長所なんで、そこでリズムを作って、チームのビルドアップとかに係わっていけたら。(今日は)ボール触る機会は少なかったんですけど、持った時にはちゃんとボール隠して剥がしてパスすることができた」という大型SB畑尾がボールを前進させたほか、佐伯の左足FKが枠を捉え、上垣、柿澤のスピードを活かした仕掛けなどで追加点を狙う。

 そして、左CKから黒瀬が頭で追加点。さらに姫田が獲得したPKを黒瀬が左足で決めた。大成は小池が相手のプレッシャーを巧みに剥がしてみせたほか、後半は秋間の攻め上がりや稲荷のクロスなども交えて反撃。ゴールに近づいていたものの、最後まで1点を奪うことができなかった。

大成MF川村歩夢が攻撃をコントロール
後半27分、三田学園CB黒瀬直弥主将が左足PKを決めて4-0

 試合後、大成の選手たちはすぐにミーティングを開始。豊島裕介監督は「今年は話し合うことができるチームだと思っている。(課題を)一つでもクリアしてこの大阪は終わりたいです」と語った。準々決勝から登場したインターハイ予選は初戦敗退。ボールを保持して押し込むも、守りを固める相手をこじ開けることができなかった。失点の多さも課題となっているだけに、一つでも改善して関西遠征を終える。

 一方の三田学園は、福島監督も選手たちの日々の頑張りを讃えるほど勉強とサッカーを両立。高さと速さ、上手さを兼備する注目右SB畑尾は文武両道を目指して中学時から三田学園に在籍している。登下校時も学びの時間とし、練習後の2時間に集中して学習。同時に、「三田、まだ1回も行ったことがないんで選手権に必ず行って、そこで通用できるようなチームになっていきたいです。(個人としては) 点を取れるSBを目指したいです」とサッカーで結果を残すことを目指している。
 
 また、一般受験で国立大進学を目指しているという黒瀬もインターハイ予選決勝で出た各選手の立ち位置、冷静に試合を進めることを改善して選手権に出場することを誓った。「冬に向けて、それまでの期間でもっと自信を持って、緊張した場面でも自分たちのサッカーが貫けるように。もっと戦術的な部分でレベルアップしたいなっていう風に思ってます。(目指す大学にも)このまま継続して頑張ったらいけるかなと思います」。学業も、サッカーもやり切って目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー

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