選手同士で意見をぶつけ合って後半修正…“一枚岩”となった帝京、神戸弘陵から粘り強く勝利

決勝点となる直接FKを叩き込んだ帝京高FW土屋裕豊(13番)が仲間と喜びを分かち合う
[7.27 総体1回戦 神戸弘陵高 0-1 帝京高 JヴィレッジP7]

 夏の高校サッカー日本一をかけた令和6年度全国高校総体(インターハイ)「ありがとうを強さに変えて 北部九州総体 2024」男子サッカー競技が27日に開幕。JヴィレッジP7で行なわれた神戸弘陵高(兵庫)と帝京高(東京1)の一戦は、帝京が1-0で勝利した。28日の2回戦では米子北高(鳥取)と対戦する。

 目指すのは2年前のインターハイで決勝まで進みながら、つかめなかった日本一の称号。決して楽ではない試合展開の中、帝京が粘り強く白星を引き寄せた。

 立ち上がりから試合の主導権を握ったのは神戸弘陵。「行く時と構えて奪う時の判断がピッチの中でできていた」と谷純一監督が話す通り、県予選を終えてから取り組む守備の判断が機能し、帝京にビルドアップを許さない。奪ってからは素早くパスを繋いで攻撃に転じると、前半3分には自陣左からゴール前に展開。抜け出したFW白石蒼悟(2年=神戸FCジュニアユース)がゴールを狙ったが、帝京DFが防ぎ、得点には至らない。

 24分には右サイドでボールを持ったDF阪上聖恩(3年=FC PASENO ITAMI)のパスから、FW大垣颯楽(3年=サルパFC)が高い位置を抜け出し、ゴール前にクロス。左足で合わせたFW石橋瀬凪(3年=ヴィッセル神戸U-15)のシュートがゴールの右隅を突いたが、ポストに嫌われた。

 受けに回った帝京にとって前半は反省すべき点が見られる試合展開で、FW土屋裕豊(3年=鹿島アントラーズノルテジュニアユース)はこう振り返る。「なかなかボールが収まらないし、守備も圧力がかけられない。自分たちがボールを保持できずにずっと守備というのが駄目な時の帝京」。

 プリンスリーグ関東1部では上手く行かない展開を耐えられず、セットプレーから失点して落とす試合が多かったが、この日は違い、前半を無失点で終えることができたのは収穫。ハーフタイムには選手同士で意見をぶつけ合い、後半に向けて修正したという。

 そうした成果もあり、後半4分には自陣からDF田所莉旺(3年=川崎フロンターレU-18)がロングフィードを展開。前線で受けたFW宮本周征(2年=バディージュニアユース横浜)が倒され、神戸弘陵のゴール前でFKを獲得した。キッカーを務めた土屋にとっては自信のある位置でのチャンスで、「都予選の準決勝、日大豊山戦でも決めていた。あそこでファウルをもらった時にはもう行けるなと思っていた。ありがとうという感じだった」と振り返る。この日もきっちり直接ゴールネットを揺らし、帝京が先制に成功した。

 試合終盤に入ってからは、同点弾を狙う神戸弘陵が再び押し込む。「監督からも『試合終盤は絶対に相手がバテてくる』と言われていた。そこで自慢のスピードを出したら圧倒できるんじゃないかと思って、どんどんオーバーラップを仕掛けた」。そう話す阪上が右サイドを積極的に攻撃参加。後半から右に回った石橋も持ち味を発揮する。

 23分には石橋が得たFKを阪上が直接狙ったが、GK大橋藍(3年=FC東京U-15深川)が阻止。35分には右サイド低い位置から入れた石橋のスルーパスから、途中出場のFW檀野護蔵(3年=西宮SCジュニアユース)が抜け出したが、オフサイドを取られ、1点が奪えない。試合はそのまま1-0でタイムアップを迎え、帝京が勝利した。

 一昨年はインターハイ準優勝。昨年は全国大会出場を果たせなかったものの、DF梅木怜とMF横山夢樹がFC今治加入を決めた。今年の代は決して前評判が高かったわけではない。ただ、土屋が「面子的には少し劣るかもしれませんが、チーム力、グループ力は今年が一番良いと思う。練習から話し合い、ぶつかり合い、グループ力を高めてきた」と話す通り、一枚岩となって戦えていることが強みだ。次戦以降も苦しい試合があると予想されるが、再び全員で戦い白星をつかみ取る。

(取材・文 森田将義)


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Source: 大学高校サッカー

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