[7.28 インターハイ2回戦 龍谷高 0-4 帝京長岡高 JヴィレッジP2]
帝京長岡高(新潟)に0-4で敗れた試合後、龍谷高(佐賀)の太田恵介監督は「楽しかった」という言葉を繰り返した。「(遠征費を捻出してくれている人たちに対して)『負けて楽しかった』っていうのは失礼かもしれないけど、選手たちにはすげえいい経験になったと思います」と頷いた。
全国大会出場で見えることがある。元Jリーガーの指揮官は、「(全国大会は)面白い。やっぱ毎回出たいなって思いますから。選手たちがそれを思ってくれればね。自分たちは井の中の蛙で、レベルがなかなか上がらない中で、全国のレベル見ると、やっぱこっちが言ってることが、『こういうことなんだ』っていうのが見えてくる。だから、選手たちが身体でこう味わえたっていうのは、凄くいい経験だったかなと思います」と語った。
2013年創部の龍谷は、2018、2019、2022年度の選手権に出場。初出場した2018年度大会でベスト16進出を果たしている。これまでインターハイには縁がなかったものの、初出場した今大会初戦で瀬戸内高(広島)を3-2に勝利。2012年大会の佐賀東高以来、県勢12年ぶりの1勝を挙げた。
この日はプレミアリーグ勢の帝京長岡相手にチャレンジした。前半、相手の注目FW安野匠(3年)に巧みに背後を取られるなど、相手の連動した攻撃に苦戦して3失点。だが、より重心を前に押し出した後半はよく相手に食い下がり、交代出場MF中村太朗(3年)のシュートなどゴールへあと一歩まで迫っていた。
「1対1の対応とか潰しにいくところとかは凄く意識してやっていた」というDF橋本勝人(3年)や中村、MF野口大翔(3年)、GK原田浩斗(3年)らが奮闘したが、結果は0-4で敗戦。佐賀県1部リーグの龍谷は、チームが目標としているプリンスリーグよりもさらに上のプレミアリーグ勢との力の差を実感していた。
太田監督は「やっぱ上のリーグでやりたいなって気持ちになったし、やっぱそこに行かないと僕たちは強くなっていかないだろうなって感じはしました」。今年、プリンスリーグ九州2部昇格を達成することへの意気込みを新たにしていた。
収穫が多かったことも確かだ。選手たちは、強みとする強度が全国レベルでも通用することを確認。また、太田監督が「この大会で覚醒してくれている。身体能力高いので、マジで経験になりましたね」というDF橋本らの成長などもあった。
橋本は「(個人として)フィジカル的なところやコミュニケーションのところをもっと増やしていきたい。今後は自分がもっと周りを動かしたりして、DFリーダーみたいになれていければいい」と誓う。
また、県予選を怪我で欠場している中村は、アジリティや俊敏さ、ボールコントロールの強みを発揮していたが、満足はしていない。「個の能力を上げていかないとチームのために結果を残せないと感じました。チームのために走って、ゴール決めて、プリンスリーグ昇格も、選手権出場も叶えていきたい」。選手権では自分がチームを全国へ導く考え。初のインターハイで学んだことを忘れず、積み重ねて次世代のためにも目標を達成する。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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